父と癌 

がんになった父の闘病生活の記録です

19.父の発熱

病室を移動し、同室の友人の方にも仲良くしていただけ、看護師さんが友人の娘様にうちの父と仲良くしている。という話をいてくれていたようで、娘さんがお見舞いに来た際には、父に挨拶をしてくれたそうです。

 

”頑固者で人付き合いが下手で偏屈者の父ですが、仲良くしてくださいね。ありがとうございます”

 

と娘さんはにっこりと笑って父に言ってくれたそうです。

父は普通に話しているだけだったのでなんだか当たり前のことをしたのに”ありがとう”と言われて、少しくすぐったい気持ちになったんでしょう。

 

そんなに感謝されるなら有料にしとけばよかったなぁ!なんて照れ隠しをしているように感じます。

 

私は父の友人の娘さんとは会う機会はなかったですが、この場をお借りしてお話ができるのなら

 

”こちらこそ偏屈者の父と仲良くしてくださってありがとうございます。”

と言いたいです。

 

ある日のこと、父は夜中に熱にうなされていました。普段から微熱が続いていてのですが、この夜はいきなり高熱に。

解熱剤や点滴などの処置はしていただけたのですが、一向に良くなることはなく息苦しい夜だったそうです。

意識が朦朧としている中、父のベッドに近づいてくる人影・・・

看護師さんではありませんでした。

父は慌てて目を覚ましました。

そこに立っていたのは、立っているはずのない友人の姿。

 

”大丈夫か??寒ないか??”

 

そう言って父に自分の布団をかけてくれている父の友人。

ありえない・・・だって彼は

彼は看護師さんの見守りがなければ歩けないはず。歩いてはいけないはず・・

父なんかよりずっとずっとずっと・・・

体調は悪くて症状も悪くて

それなのに

 

”大丈夫か??寒ないか??”

 

その一言に父はボロボロと友人の前で泣き出しました。

人前で泣いたのなんて初めてでした。