9.愛知県がんセンター
父の闘病生活のスタートはもしかしたらここからかもしれません。
父の再発。
がんの恐怖。
父が癌になって三年経って初めて私はがんについて調べました。
”医者がついているから大丈夫”
”手術=完治”
そう思っていていた私は初めてがんという恐怖が目の前に父に迫っているのだと気づきました。
”がんセンター”
名前の通り、右を見ても、左を見ても”がん”の人ばかり。
父はこの時初めて自分以外の”がん”と戦う人々を見て
ふと思ったことがあったそうです。
診察待ちの患者様
ふと”あ。こっちの人が患者さんやな。”
”こっちの元気な人が付添やな”
なーんて思っていた父の予想はすべて真逆だったそうです。
”がん”はがん患者よりも家族を不幸にしてしまう病気なのだと父はよく言います。
誰かを失うかもしれないという気持ち。それこそ苦痛で仕方なかったといいます。
死んでしまうかもしれない。という気持ちは父の中ではこの時あまりありませんでした。
ただ、ただ思ったのは
”母が悲しむ”
そればかりだったようです。